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新型フリード [日記]

ホンダ「フリード」。「モビリオ」の後継車として2008年に登場し、2年後に2列シートの「フリードスパイク」、 2011年にはハイブリッド仕様を追加したホンダのコンパクトミニバンが、 初のフルモデルチェンジ(全面改良)を実施したようです

 発表資料を見てまず気付いたのは、2列シート仕様をフリードスパイクから「フリード+(プラス)」に改名し、フリードとの外観上の差をほとんどなくしたことだ。

 車名に「+」を付けたホンダ車と言えば、「N-BOX+」が思い浮かぶ。キャビンを可能な限り広く取ったN-BOXに対し、N-BOX+はさまざまな用途に対応できる後部空間を持つ。従来のフリード/フリードスパイクの位置付けに似ていることから、統一感を出すためにフリード+としたのだろう。

 しかし2つのフリードはまったく同じボディではない。これもN-BOX/N-BOX+と同じで、フリード+はリアゲートがフリードよりさらに低い位置から開くようになっている。

 エクステリアデザインは、 旧型と比べるとフロントノーズが厚みを増したことが目に付く。これは最新の歩行者頭部保護基準に適合させるとともに、存在感を高める顔つきとしたためだという。今年6月にマイナーチェンジしたトヨタ自動車の「エスティマ」と似た理由だ。さらにサイドウインドー上端のラインが明確な弧を描いていることも旧型フリードと違う。

 ボディサイズは全長4265×全幅1695×全高1710mm(フリード2WD)で、旧型フリードと比べると50mm長くなり、5mm低くなった。この長さと低さのおかげもあって、箱に近かった旧型に対し、フィットのようなハッチバック車に近い雰囲気になった。小さくて商用車的だったリアコンビランプが、乗用車らしい横長の形状になったことも、その印象を高めている。

 フリードの最大のライバルであるトヨタ「シエンタ」は、トレッキングシューズをイメージしたといわれる、かなり大胆な造形を身につけている。それに比べると新型フリードは、スラントしたノーズとスクエアなキャビンの結合がやや不自然だった旧型から、バランスの良いプロポーションになった。

 新型フリードは、旧型で掲げた「ちょうどいい」をさらに一歩進めることを念頭に置いたという。その考えは新型のスタイリングにも反映していると感じた。多くの人がバランスが良いと感じるこの「ちょうどいいカタチ」は、ライバルに対する武器のひとつになりそうだ

 次にパッケージングでは、バッテリーなどを内蔵したハイブリッド車用機器IPU(インテリジェント・パワーユニット)を旧型より55mm短くし、3列目下から前席下に移動したことが目立つ。その結果、ハイブリッドと4WD、ハイブリッドと車いす仕様の組み合わせが可能になった。ハイブリッド4WDは、シエンタにはない仕様だ。

 新型フリードは福祉車両が充実していることも特徴だ。現在開催中のリオデジャネイロ・パラリンピックに合わせたつもりはないだろうが、フリードには助手席リフトアップ6人乗りと2列目左側サイドリフトアップの4人乗り、フリード+は2列シート5人乗りの後方に車いすのままスロープで乗り降りできる6人乗りがある

 基本はガソリン車の2WDとなっているものの、助手席リフトアップ以外はハイブリッド車も選べ、サイドリフトアップはガソリン4WDも選べるようになっている。

 新型フリードの開発コンセプトは「いつでも、どこでも、だれでも 7days Wonderful Mobility」だ。この中の「どこでも」がハイブリッド4WD、「だれでも」が多彩な福祉車両の設定に結び付いているようだ。

 福祉車両以外の仕様は、3列シートのフリードが2列目キャプテンシートの6人乗りとベンチシートの7人乗りを用意し、フリード+は2列シート5人乗りに限られる。でもフリードとフリード+で共通部分はほとんどないよう

 インテリアのカラーコーディネイトは、フリードはベージュやブラウンを基調として暖かさ、フリード+はブラック基調でツール感覚を強調している。2列目シートの折り畳みは、フリードはベンチシートのみ格納可能で、背もたれを前に倒したあと全体を跳ね上げる方式。しかしフリード+は座面を前に跳ね上げたあと背もたれを前に倒すタイプと、作り分けている。

 これは荷室の作りの違いと関係がある。フリードが快適に過ごせる3列シートを重視しているのに対し、フリード+は使いやすい後部空間が大切になる。よってリアゲートを違えていることは前に書いた。当然ながら開口部の高さも異なり、フリードの480mmに対しフリード+はわずか335mmになる。

 フリード+では、この上に耐荷重200kgのユーティリティボードを設置することで、ボードの下に荷物を収め、上で2人が車中泊できるライフスタイルを提案しているのだ。このために後席の折り畳み方を変えている。

 室内空間そのものも広くなっている、新型のホイールベースは2740mmで、旧型と同じだが、前席と3列目のヒップポイントの間は90mm長くなり、2列目のシートスライドは 120mm伸ばされ、360mmにも達している。おかげで3列シートのフリードでは、1・2列目を使ったフラットモードと、2・3列目を使ったフラットモードの両方が可能となった。さらに前席の間を50mm広げたことで、ウォークスルーもしやすくなったという。

スライドドアも、開口幅は旧型より20mm広い665mm、高さが40mm拡大した1165mm、ステップの高さは15mm低い390mmとなっており、乗り降りもしやすくなったそうだ。このうちスライドドアのステップ高はシエンタのほうが低いようだが、リアゲートの開口部は低く、シートアレンジの多彩さでも上回るなど、後発だけあって優位な部分が多い。

 パワートレインはガソリン車、ハイブリッド車ともに1.5Lで、ここまでは旧型と同じだ。しかしフィット同様、ガソリンエンジンは直噴化され、ハイブリッドシステムはアトキンソンサイクルを用いたエンジンにモーター内蔵7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)の組み合わせになった。

 JC 08モード燃費はガソリン車が19km/L、ハイブリット車が27.2km/Lで、ハイブリッド車はシエンタと同じ、ガソリン車はやや下回る。シエンタよりやや重いボディが影響しているのだろうか。しかしこれは2WDの話であり、4WDではハイブリッドが選べるフリードが圧倒的に有利だ。

 注目したいのはハイブリッド車のモーターで、大同特殊鋼と共同開発した、重希土類を使わないネオジム磁石を採用している。レアアースの中でも重希土類は、中国以外ではほとんど産出していない物質であり、政治問題などで供給に影響が出やすい。賢明な切り替えと言えるだろう。


さらに新型フリードでは、ミニバンではあまり話題に上らない走りにも力を入れている。

 特にエンジニアが力を入れたのはリアサスペンションで、部品や取り付け箇所の剛性を強化した一方で、取り付け部分のブッシュには液体封入タイプを採用することで乗り心地も向上させたという。フロントサスペンションはロールを抑え、ステアリングレスポンスをクイックにしてある。

 安全面では、衝突軽減ブレーキ、歩行者事故低減ステアリング、アダプティブクルーズコントロール、車線維持支援・逸脱抑制機能などを含めたホンダセンシングを装備した。トヨタ・セーフティセンスCを搭載したシエンタともども、トレンドに沿った内容と言えるだろう。

 ここまでシエンタを比較対象に置きつつ新型フリードの解説を進めてきたが、個人的に興味があるのはフリード+のほうだ。国産車には直接のライバルがいない、孤高の存在であるが、車いす利用者の移動からキャンプ場での車中泊まで、クルマが持つさまざまな可能性を教えてくれる貴重な存在である。こういう車種を引き続きラインナップした判断にホンダイズムを感じる。

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